【開催しました】「世界標準の経営理論」読書会 第11章:カーネギー学派の企業行動理論(BTF)・第12章:知の探索・知の深化の理論①
毎週木曜日の夜、2章ずつコツコツと理解を深めている枕な本の読書会ですが、第2部の「マクロ心理学ディシプリンの経営理論」に入りました!
2部と3部のテーマになっている「マクロ心理学」と「ミクロ心理学」というのは、入山先生の造語なのだそうです!
「マクロ」とつけたのは、主に組織単位(=経営学におけるマクロ)のメカニズムを説明する理論で、「ミクロ」の方は、個人単位の行動・意志決定に関する理論だとういうこと。
言葉を聞くだけで、すっとイメージが湧いてわかりやすいな~っと。
経営理論の土台?王道?の、経済学ディシプリンを終えて、遂に、組織開発と親和性の高い「心理学ディシプリンの経営理論」に突入です!
経済学ディシプリンの経営理論を貫いていた前提が「人は合理的に意思決定する」ということに対して、BTF(behavioral theory of firm)を貫いている前提は「限定された合理性」です。
「人は合理的に意思決定するが、その認知力・情報処理力には限界がある」というもの。
組織は、この「限定された合理性」の中で様々な意思決定をしているのですが、その意思決定には循環プロセスがあって、その一つ一つの要素がプラスに働かせるのか、マイナスに働かせるかで組織の未来が変わっていくのだ、ということが理論(マーチ=サイモンの組織意志決定の循環プロセス)になっているとは。
参加された皆さんの、11章での気づきはこんな感じです。
- 満足度が低ければ、もっと満足させてくれる選択肢をサーチするということから、選択肢が多すぎて選べないという状況を想起しました。合理的な判断ができないのか、認知の範囲に限界があって、選択肢の合理性を認知できないのか?
- サーチとアスピレーションは、企業行動のみではなく、個人の行動動機にも合致するところがある気がします。うまくいっているときにアスピレーションを高く持って、余裕と慢心のバランスをとるいうは簡単ですが、実際難しいですね
- マクロ心理学というフレーム化は絶妙。入山先生の強みはこのようなキーワード化、フレーム化にあると思う。あまり日本の教授ではいないと思う。そして、アッパーエシュロン理論ていう理論になっていたのか!という驚き
- 組織の意思決定循環プロセスは確かにその通りだと思う。経営者でなくとも目線を高く持ち続けることはビジネスパーソンとして必須。そこから逸脱した経営者の意思決定はあるのだろうか?そういう人ってそもそも成功しないのかな?
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虚心坦懐、に自分や組織が何を見ようとしているのか、自分や組織の背中を見る、ということを「知っていること」が必要なのですね。突っ走った方がいい時と、立ち止まった方がいい時と、加減が難しそうだけど、正解は無いから、失敗も許されるうちに沢山すればいいんだと思いました
- 所詮は人の心というものは移ろいやすい。組織が人で成り立っている以上、生き物のような行動をとる?! 企業行動理論は身近に思える
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慢心と余裕のバランス、いうのは簡単だが、行うのは難し
ホンダの話、面白いw
コンサル様がいう尤もらしい理由や理屈を盲目的に信じるのは危険w!
パフォーマンスフィードバックは、意識しないと人の思考は②(問題解決型サーチ)に流れる
第12章「知の探索:知の深化理論①」は、企業を経営することの本質は「両利き」を目指すことであり、いかにしてその本質に近づく経営をすることができるかという理論です。ここでいう「両利き」とは、「知の探索:新しい知を求める」と「知の深化:今持っている値をそのまま活用する」のこと。
この「両利き」の経営が、イノベーションには欠かせないと、本書の中では述べられています。
が、企業・組織ではどうしても「知の探究」が怠りがちになり、「知の深化」に傾斜する傾向がある、なぜなら「知の探索」は未知の領域へ踏み出していくことなので、①経済的、人的、時間にコストがかかる、②不確実性が高い、から。
一方、「知の深化」は、既存知の活用なので①その見通しは確実性が高く、②コストも小さい。
結果として、「限定された合理性」の帰結としては、「知の深化」への傾斜が起こる(コンピテンシー・トラップ)のだそうです。
(実際にあるあるすぎw、という実感です(#^.^#))
皆さんの12章での気づきは、こんな感じです。
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これ読んで1日1個は、組み合わせを考えようと思いました!仕事柄、知の深化どころか、前例踏襲に走りがちなので・・・サーチはエネルギー使って、時間かかるのでついつい深化する方にベクトルが向かいます。
また、同質化した組織だと組み合わせも、陳腐でリスクテイキングなものは出てきにくくなります。組み合わせが尽きてきているのか? - 知の探索と知の深化のバランスに悩む企業経営者は多い。短い時間軸で考えると知の深化に寄るだろうし、知の探索を進めるには多分勇気が足りないのかも。よくわからないし。慢心なのか、危機感なのかでとる行動は変わるんだろう
- まさにバランスですよね。その企業の特徴として、知の探索が得意なのか、知の深化が得意なのか、分かれている。そのバランスを持った経営者であるか、また、自分、自社の限界を知って、そのバランスを保つことができるチームとなる人材構成ができるか。その辺りの経営者のセンス=メタ認知が重要だ!
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みんな「知の深化」が大好きね。特に成功体験をもった、社歴の長いそこそこの規模の企業ね。
掘りすぎたら限界でしょ~でも、掘ってることで仕事してる気になってる。ある程度の歴史があると、「深化」することができそうなものが、いっぱいあるから~
⇒どうすれば「知の探索」に人や組織の志向が向くのか。ワクワク?好奇心?安心安全?ご褒美?
かんばん方式の黒いとこ、って何だろ~w? -
よほど意識しないと、既存認知の方に議論もリソースも集中していってしまう。
変化、はもともと苦手な方向だし、これまでの社会人価値観からすると「遊び」も受け入れがたいだろうな。だからイノベーションから遠ざかってしまうのかも。 - 加藤雅則著「両利きの組織をつくるー大企業病を打破する「攻めと守りの経営」はAGC社を舞台としたこの理論の物語なのかな。途中で読むのをやめてしまったが、ちゃんと読んでみようと思う。
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知の探索と知の深化の違いを、自社の経営方針とか営業方針でリアル事例として確認してみる行動が大事!(経営者が自分でやる)
かなり「痛み」を伴うが、やった方が良いと思う。
で、ちゃんと人事(採用・育成・配置)につなげて、両利きの組織能力を育てる。
短期でやっちゃダメだと思う・・・
私たちの身の回りで、組織の中、チームの中、リーダーとメンバーという役割によるパワーバランスや関係性の中で、普通に意思決定したり判断したりしていることが科学的データに基づいた理論となっているのだということを知って、素直に驚いたと同時に、人の関係性と意思決定と経営との間には、少なからずとも何かしらのパターンが存在していて、科学的に説明できることが多いのだということは、組織開発に携わる者としては肝に銘じて置かねばならないことだと、強く感じた次第です。
次回は、第8回 1月28日(木) となります。
ご興味のある方は、ご参加ください(#^.^#)
途中からのご参加、大歓迎です!
「この本は、どの章から読んでもよいし、読まない章があってもよいように書きました」と入山先生はおっしゃってますので(*^^*)