【開催しました】「世界標準の経営理論」読書会 第13章:知の探索・知の深化の理論②/第14章:組織の記憶の理論

いよいよ「組織シナジー」の本質ともいえる理論に入ってきました(#^.^#)
この2つの章は、この理論で裏付けられると考えられる事象が、自分たちの身の周りに多すぎまして、参加者の皆さんの思考が止まらない~w、って感じになってしまいました。

12章で「コンピテンシー・トラップ:組織が知の探索に偏りやすい傾向」について学び、「日本でイノベーションが求められているのは、多くの企業が知の深化に偏りすぎているから」という同理論の帰結を知ったのですが、では、どうすれば「両利きの経営」を進められるのか、というのを説いているのが13章です。
この中で、日本の大企業型の知の探索について、欧米型と日本型の知の探索を進めるやり方の違いを例に取り上げて「その源泉となる「知」は、すでに日本の大企業の中で活用されないまま、埋もれていいる人材にある」という仮説を紹介してます。

この仮説、実感値ありすぎなんですよね~~~っ!(参加者の皆さんも、激しく反応してましたw)
で、この仮説のもとで、日本企業がイノベーションを起こすには、この大企業内部の人材・技術者を一度社会へ出して、「彼らに直接知の探索をさせるべき」という主張のもと、WiLとソニーの実証事例が紹介されてます。

もう一つ、個人的に興味深かったのは、「イントラパーソナル・ダイバーシティ:一人ダイバーシティ」という概念です。
通常、ダイバーシティといえば、「一つの組織に多用な人がいる:組織ダイバーシティ」が一般的ですが、一人の人間が多様な、幅広い知試験や経験を持っているのなら、その人の中で離れた知と知の組み合わせが進み、新しい知が創造できる、というのがイントラパーソナル・ダイバーシティです。

私としては、所属している組織が巨大であるほど、人々の組織の中での引きこもり傾向(個人のセル化、タコつぼ化と、私は呼んでますw)が高くなる気がするのですよね。そして、組織全体が過去の成功体験に基づいた「いかに品質のよい金太郎飴人材を育成するか(知の深化に偏重した人材開発)」という価値観のもと、様々な教育制度や評価制度が構築されているので、益々、この引きこもり傾向は強化されているという実感値があります。
組織シナジーの最大化は、一人ひとりのイントラパーソナル・ダイバーシティをいかに高めるか、ってことは大きな成長の因子になると思います。

第13章「組織の記憶の理論」で特筆すべきは、なんといっても「SMM(シェアード・メンタル・モデル):組織のメンバー間で、どのくらい認知体系(メンタルモデル)が揃っているか」と、「TMS(トランザクティブ・メモリー・システム):組織メンバーが「他のメンバーの誰が何を知っているのか」を知っていること」でしょう。

SMMを共有することと組織パフォーマンスの関係性の実証分析結果として米連邦教区の航空交通管制官を例に、タスクSMMチームSMM(SMMにはこの2種類のSMMが存在する)を同時に高いレベルで実現できているチームほど、そのチームが担当する子空港の業務効率と安全性がともに高くなる」という結論を導きだしています。つまり、SMMの高い組織はパフォーマンスが高い、という命題が出現した、というわけです。

いや~、確かにそうだよなぁ、と頷けました。
日本の企業の中でも、長く存続している組織には、それぞれの独特の文化:メンタルモデルがあると感じます。
私自身もトヨタで働いていたとき、事務所の文房具類までの発注や供給にまでも、「一個流し」や「かんばん方式」の意識はまるで空気のように当たり前になっているのだ、ということに、転職して初めて気づかされたという体験をしました。ある意味、独自のメンタルモデルの構築は、信仰宗教に近いものだと、実感した体験ですが(;’∀’)

TMS(知のインデックス・カードと、入山先生は呼んでいるそうです)は、全員で共有するのと、一人(あるいはそれを専門とする少人数)が独占するのと、どちらが組織的にシナジーを発揮するのか、ということについて米IBMでの分析結果を事例に、「TMSは全員で共有するよりも、個人(あるいは専門とする少人数)が独占した方がいい」という帰結を紹介しています。

この実証結果より、なぜ、現代の日本企業において組織の記憶力を高める力弱くなっているかということを、入山先生は日本のひと昔前の企業と比較して考察されていて、それが「ブラブラおじさん」がいなくなったからではないか、と結んでらっしゃいます。
つまり、昔は一見、何をしているかよくわからない「ブラブラおじさん」の存在が、TMSの役割を果たしていたのではないか、ということです。

この「ブラブラおじさん」というキャッチ―なキーワードに、参加者の皆さんが多く反応されてましたよw

次回は、第9回  2月28日(木) となります。
ご興味のある方は、ご参加ください(#^.^#)
途中からのご参加、大歓迎です!

第9回  2月 4日(木) 

・「第15章 組織の知識創造理論(SECIモデル)(P202、P269-282)
・「column ナレッジ・ベースド・ビュー」(282-284)
・組織の変化の理論(P202)
・「第16章 認知心理学ベースの進化理論」(P202、P285-299)

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