【開催しました】「世界標準の経営理論」読書会13 第22章:感情の理論/ 第23章:センスメイキング理論

第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論の最終回でした。

「人は感情の生き物であり、そして組織は人でできている。従って感情を理解しないで、組織を動かすことはできない」(本文より抜粋)
そして、「リーダーシップや意思決定を理解する上で、人の認知メカニズムは欠かせないが、同時に人は「感情の生き物」でもあり、どれだけ認知的に正しい意思決定をしようとしても、それは感情に大きく左右される」(本文より抜粋)

第22章の感情の理論では、一見、無秩序のように見える「怒り」「喜び」「悲しみ」などの感情には一定のメカニズムが存在し、いくつかの理論が紹介されています。

・分離感情の理論:感情イベント理論
感情は外部からの刺激を受けることで始まり、ポジティブな外部刺激(⇒PA:ポジティブ感情)よりもネガティブな外部刺激(⇒NA:ネガティブ感情)の方が、心理的な影響度が強いという「感情の非対称性」に関する理論

・帰属感情を加えた理論:認知評価理論
同じ外部で刺激でも、人によってそれを認知的にどう評価するかが異なり、そのプロセスに注目する理論で、このプロセスは循環サイクルとなっており、PAを高める循環サイクルを持つ人とNAを高める循環サイクルと持つ人がいて、そのサイクルは認知にも意思決定にも大きく影響を与える

・ムードの理論:感情伝播
ある人の内面で起こった分離感情の体験を外に向けて表現することで、その感情が周囲に伝播され、それが周囲の人々にとっての外部刺激となり彼らの感情に影響を与えることによる人・組織に与える複雑な効果とその法則、メカニズム

さらにこの感情を表現する理論として紹介されているのが
感情労働理論:誰もが仕事上の理由で持つ感情ディスプレーを2つに分けて(「サーフェス・アクティング」「ディープ・アクティング」)捉える

というものでした。

また、人の感情が組織や人々に与える効果には法則がある(なんと6つもっ?!)のだそうです。
そして近年の心理学・経営学の研究では、人・組織の感情はある程度まで人為的にマネージできる可能性が明らかになっているとのこと。
特に「エモーショナル・インテリジェンス(EI):感情をうまく取り扱える個人の総合能力」が注目されており、多くの研究でEIスコアの高い従業員の方が様々な側面でパフォーマンスが高い、という結果も示されているそうです。

この章の最後に、「もはや感情は精神論ではい。理論的科学的に捉え、マネジメントできる時代になりつつあるのだ」と、入山先生は締めくくっていらっしゃるのですが、いや、確かにそうであるかもしれないですが、私的にはちょっと怖いな。。。って思ってしまった(;’∀’)。
というか、だとするとこれからの時代はなお一層、リーダーの人としての倫理観や哲学が問われることになるし、リーダーの「人間力」が組織や人に与える影響は大きいし、それがその組織の色をつくっていくって思いました。

近代科学ではそこまで(人の感情をある程度までマネジメントできる)できるということは、裏を返せば(それを踏まえておけば)人や組織をいかようにでも操作することができるということなので、間違った使い方をするリーダーが手にすると世界は恐ろしい方向に行くな、って(実際に、世界を見渡せば、既にそのような組織は散見されるし、向かいつつある組織(国家も含めて)も多々あると感じます)。

組織開発では「人の感情」や「組織の雰囲気」は、切っても切れない、、、いや、モロにド直球でそこを扱う(働きかける)わけですから、組織開発に携わる人の倫理観や哲学が本当に問われると思ってます。

なんだか知らないけど、ここ最近、日本では組織開発は「ブーム」のようで、びっくりするほど急激に「組織開発コンサルタント」やら「組織開発○○○」を名乗る方々が増殖しているように感じているのですが、そういう恐ろしいものを取り扱い、関わるのだ、っていう「認知」をされていらっしゃる方がどれだけおられるのかなぁ。。。
私についていえば、自分の中で中々覚悟を決めることができなくて、ほんと「組織開発コンサルタント」を名乗るのは「清水の舞台から飛び降りる」くらいの覚悟だったんですけどねぇ。。。


次回は、第14回 3月11日(木)21:30~23:00 

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第4部 社会学ディシプリンの経営理論
・ビジネスの「つながり」「社会性」のメカニズムを解き明かす(P434)
・ソーシャルネットワークの理論群(P434-435)
・「第24章 エンベデッドネス理論(埋め込み理論)」(P435、P439-454)
・「第25章 「弱いつながりの強さ」理論(P435、P435-478)

となります。
区切りのよい場所からとなりますので、ご興味のある方はご参加くださいませ(#^.^#)

この全23回(フォローアップも入れると24回)6カ月に渡る読書会も、気づけば半分以上を終え、残すところ10回、2カ月半余りとなっちゃいました。
が、しかし、半分以上を学んで思うのは、私にとっては1回こっきり読破しただけではとても身につくような代物ではない、ということです(;’∀’)。
参加者の皆さんと話しているのは、この本を読み終えるまでに、それぞれがいったいどれだけの副読本をポチるのだろうか(そして積読が高くなる)、ってことです(笑)。

最近では、参加者の皆さんとの対話による深め方が増してきて、毎度、時間超過しちゃってます(;^ω^)
ってことで、23章のセンスメイキング理論については、次回(時間が許せば)の投稿でご紹介します。

そして、甲南大学の西川先生にやっていただいているゼミナール形式のPOD(ポジティブ組織開発)講座で学ぶことが、この書籍と本当に親和性が高くって、同じタイミングで学ぶことによる相乗効果が私的にはもの凄く高くて、一人で勝手にニマニマしてたりします(#^.^#)

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