【開催しました】「世界標準の経営理論」読書会17 第30章:組織エコロジー理論/ 第31章:エコロジーベースの進化理論
エコロジー:生態学を組織経営の応用する理論でした。
「個体群生態学をビジネス社会という生態系に当てはめ、固体である企業の生死のメカニズムを探る」理論だそうです。
要は企業を一つの生命体と捉え、その存亡のメカニズムを生物の生死のメカニズムに当てはめて解き明かす理論、ということでしょうか。
組織エコロジー理論には3つの前提があるのですが、その一つに「企業の本質は変化しない」というのがあります。
個人的には、これは結構、衝撃的であったりしました。
「そ、そ、そうなのか、、、生態学的前提に立つと、企業の本質は変化しないのか。。。?!」という、感じです(^_^;)
組織エコロジー理論は業界全体を社会システムと見なして、マクロ的な視点を取るので、
「一度生まれた企業はある程度その形が形成されると、生涯その本質は大きくは変化しない」
と考えるのだそうです。
この企業の変化を難しくしているものが「イナーシア(硬直性):人・組織は認知に限界があるので、環境が変化しても自身はそれに対応する大きな変化ができない」と「レジティマシー(正当性):特定の商習慣・ビジネス手法・商品・サービスなどを多くの人が使い始めると、根拠が弱くてもそれが社会で「正当・常識」とされ、全員がそれを使うようになる傾向のこと」。
つまり、企業を生物と捉えた場合、成長に伴い徐々にレジティマシーを獲得するとイナーシアが高まり、どんどん変化しずらいものになるのは生物としての本質だから、ということになるわけです。
組織開発の世界では、「組織はエコシステムである」といって組織を一つの生命体と捉える(なぜならば、組織を形成しているのは人という生命体の集まりだから)のですが、だとすると組織開発に携わる者は、「組織の本質は変化しない」という前提がある、ということを念頭に置いて関われるかどうかはとても重要なことだなと、感じた次第です。
しかしながら、企業が苦労してレジティマシーを獲得して、ようやく安定軌道に乗るとイナーシアが高まって行き、組織(生命体)をそのままにする(自らを変化させない)でいると、待っているのは「死」なのですから、やはり生命を維持し続けるためには、組織は変わり続けるしかないということなのですよね。
31章のエコロジーベースの進化理論は、さらに発展形でした。
「VSRSメカニズム」というもので、企業が誕生してから衰退して「死」に向かうまで、企業を形成する人々がいかに同質化を辿り(ホモフェリープレッシャー)硬直化していくのかというものを説明しています。
なんだ、結局どうやったって企業は変われないのか、、、と、思いきや、最後の企業が変わるための視点として「共進化」という考え方が紹介されてまして。
企業や組織は「共変化」ではなく、「共進化」するもの、という考え方に目の前が開けたような気がしております。
次回は
第18回 4月 8日(木) 21:30~23:00 @Zoom
・「第32章 レッドクイーン理論」(P438、P590-605)
32章と社会学ディシプリンの経営理論の総括&ふりかえりを行います。