「アジャイル組織開発とは」その可能性と展望           ET & IoT West 2021 ヒートアップセッションより

先日、大阪グランフロントで開催された「ET&IoT West 2021」のヒートアップセッションに登場してきました。

ヒートアップセッションのテーマは「アジャイルで組織を変革できるのか!? ~DXを視野に入れた企業の優位性を高めるための『アジャイル組織開発』~」というのでした。
(オンデマンド配信されるみたいですので、ご興味のある方はこちらからご視聴ください。)
https://f2ff.jp/introduction/5302?event_id=et-west-2021

私が「アジャイル組織開発」という概念に出会ったのは、今から遡ること6年半前、2015年の2月のことでした。
南山大学の人間関係研究センターが毎年、米国のNTL Instituteメンバーを招聘して一週間余りの合宿形式で開催している組織開発の学びの場においてです。
その時の学びのテーマは「複雑なシステムの変革をファシリテートし対処する ーFacilitating and managing complex system changeー」というもので、ざっくり言うと複雑系科学をヒューマン・システム・ダイナミックスに活用していく、というものでした。

将来の見通しが不透明、且つ不確実で、様々なものが複雑に絡み合い、そして変化のスピードが速いVUCAと言われる現代社会における組織の変革をどのように実現していくのか、これまでのある時期の組織の状態を切り取るスタティックにヒューマン・システムを捉えたアプローチとの違いは何で、そのためにチェンジエージェントとして何が必要か、どのような力を身に着けるべきか、そういうことをみっちりと学ぶ場でした。

現代の組織にとってこのVUCAの中でその生命を維持、存続するためには、高速でしかも様々なことが複雑に絡みあいながらの環境変化に以下にアダプティブに(柔軟に、迅速に、的確に)対応することが欠かせません。
そのためには、組織を形成している「人々の営み:ヒューマン・システム」を常にダイナミックに捉え、「今、ここ」で起こっていることを瞬時に捉え、それは何を意味しているのかを即座に分析し、何がその対処に相応しいか仮説を立て、そして何をレバレッジにし、どのような働きかけをしていくのか、というサイクルを高速で回す必要がある、ということです。

Adaptive Action Model

これが複雑系科学における組織開発のアプローチ「アダプティブ・アクション」であり、「アジャイルで組織を開発すること」です。

実はこの講座の中では「アジャイル組織開発」とワードを講師の方が使ったわけではありませんでした。
目の前の変化に対してアダプティブなアクション(働きかけ)を高速で繰り返す、という説明を聞いた時に、私がした「それは”アジャイル”ということですか?」問いに、講師が「そう!まさにアジャイルだ!」と答えたのです。ソフトウェア開発者というバックグランドを持った私には、「”アジャイル”で組織を開発する」というイメージがすっと肚に落ちた感覚を、今でも鮮明に覚えています。

VUCAと言われる現代社会において、組織の変革を促進し、新たな価値を創造するには、小さなトライアルを実施し、失敗からの学びを次のトライアルに活かしながらやり続けることができるかにかかっています。成功の方程式は存在せず、トライしてみないとわからないのですから、トライした回数が多い方がその確率が上がることは明白です。
つまりは、常に環境の変化に合わせて変化し続ける組織のみが、生き残ることができる、正に「アジャイルに組織を耕し、成長させ、発展させていくこと:アジャイル組織開発」がこれからの時代には必要不可欠になるでしょう。


ソフトウェア開発の世界では、2001年に「アジャイルソフトウェア開発宣言」が提唱されました。

私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。
この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。


私たちもこの宣言に倣って、「アジャイル組織開発宣言」というものを考えてみました。

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