【開催しました】「世界標準の経営理論」読書会12 第20章:認知バイアスの理論/ 第21章:意思決定の理論

私たちが日々生きるために動くことは、大小の差こそあれ、そして好むと好まざるとに関わらず「意思決定」の連続です。
この「動くための意思決定」を私たちはどのように行っているかというと、まずは周囲の情報を収集することが必要です。その収集して記憶した情報をもとに「意思決定を下す」ということをやっているのですが、この、人が「収集した情報」というのは極めて認知的なものです。
私たちは出会った全ての情報を取り入れることは不可能なので、無意識のうちに自分が優先すべき情報を認知のフィルターで取捨選択しており、結果的にこの認知バイアスが、その後の意思決定に歪みを生じさせてます。

この章では、人が持っている様々な認知バイアスと、その克服の視点として「アテンション・ベースド・ビュー(ABV)」を学びました。

認知バイアス克服の視点として紹介されている「アテンション・ベースド・ビュー(ABV)」とは、結局、私たちの脳は、どうやら認知バイアスから逃れられることができないようなので、だったら多様な認知バイアスを持った個人の集まりの組織を「人の認知の集合体」と捉え、組織のメンバー構成をうまく組むことで、個々、及び全体の認知バイアスも抑制できるかも、というものです。

だとしたら、ABVで欠かせないのが「ダイバーシティ」ですが、実はダイバーシティにも2種類(①タスク型の多様性:知見・能力・経験・価値観などについて、多様な自在が集まること②デモグラフィー型の多様性:性別・国籍・年齢などの側面で、組織の人材が多様化すること)が存在するそう。ABVの効果を得るために必要なのは「タスク型の多様性」なのですけれど、タスク型の多様性を実現したとて、今度はその中でイングループ・バイアス(人は自分と同じグループの人に好意的な印象を抱くバイアス)が「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」を生むということが起こるのだそうです。

個人の偏った認知バイアスを克服して、より広い視点、視野で物事を見るために集団を形成しているのに、今度はその集団の中で新たなバイアスが生まれるとは、本当に人というのはこの「認知バイアス」から逃れることができないものであるのだとつくづく思い知らされました。

「認知バイアス」を持っているということは、その人がそれまでを生き抜いてきたある種の「証」のようなものであろうから、それをなくすことはほぼ不可能だし、ましてやそれをなくそうと躍起になるってことは愚の骨頂だよね、と改めて強く感じた次第です。

大切なことは、それ(自分が持っている認知バイアス)をなくそうとすることではなく、自分が物事を見たり聞いたりしている、「今、ここ」の認知バイアスに自分が気づいているってことなのだと思っています。
人が生きることができるのは、過去でも、未来でもなく、今のこの瞬間である「今、ここ」だけなのだから、「私は、今、どんな認知をしているか(どのような認知バイアスで物事を見て、捉えているのか)」ということに自覚的であることが、よりよい意思決定に自分を連れていくのだと思いました。

この章のコラムに「マインドフルネス」が紹介されているのですが、「マインドフルネスとは認知の技術」と、参加いただいているJさんに教えていただき、目から鱗でした。
だとしたら、何も静かな場所にって、座禅組んだりしてじっと瞑想しないとマインドフルネスを引き寄せられないってことじゃなくて、「今、ここ」の自分の意識に目を向けて認知的にあることで、マインドフルになれるということなんだって思った次第です(これも私の認知バイアスだw)。

次回は
第13回 3月 4日(木) 
・「第22章 感情の理論」(P319、P397-P415)
・「第23章 センスメイキング理論」(P319、P416-432)
となります。

1回の参加も大歓迎なので、ご興味のある方は是非どうぞ!

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